トヨタ自動車の高級セダン「クラウン」が誕生してから60年。

トヨタ自動車の高級セダン「クラウン」が誕生してから60年。今年で還暦を迎えた。

 日本の自動車の歴史を象徴する存在でもあり、2014年末までの国内累計販売台数は530万台を超えた。ただ、消費者の好みが変わり、ボンネットとトランクがあるセダン型にかつての勢いはない。日産自動車やホンダなども含め、各社は新機軸でセダン復権に向けて動き出した。

◆高級車の代名詞

 トヨタ初の本格的な量産乗用車であるクラウンは、国内自動車の黎明(れいめい)期にあたる1955年にデビューした。東京タワーが開業する3年前のことだ。

 日産などが海外メーカーと技術提携したのに対し、トヨタは純国産の技術にこだわり、日本のモータリゼーション(車社会化)とともに成長していった。

 係長で「カローラ」、課長は「コロナ」、部長で「マーク2」、そして「いつかはクラウン」――。83年に登場した7代目のCMのキャッチコピーが、出世とともに高級車への乗り換えを夢見るサラリーマンの心をつかみ、日本の高級車の代名詞として定着した。バブル期の90年には、年間販売台数が高級車としては異例の20万台を突破した。

◆人気に陰り

 しかし、90年代以降、消費者の関心は、ホンダの「オデッセイ」など、広くて使い勝手の良いミニバンや、スポーツ用多目的車(SUV)に移った。

 ライバルの日産の高級セダン「セドリック」、「グロリア」は2004年に姿を消した。最近では維持費が安い軽自動車やハイブリッド車(HV)が人気だ。

 トヨタ自身の戦略も影響した。1989年に最上級車として「セルシオ」を投入。05年からは高級車ブランド「レクサス」を国内展開したことで富裕層や社用車の需要が分散した。クラウンには固定ファンが多いものの、14年の販売台数は約5万台と、ピーク時の4分の1の水準にとどまる。

◆巻き返し

 「セダン離れ」の流れは止まるのか。

 トヨタは12年に発売した現行の14代目クラウンでデザインを大きく見直した。13年にはピンク色の車を投入したほか、4月1日からは1か月限定で、テレビCMで好評だった「空色」と「若草色」の特別仕様車の注文を受け付ける。

 日産は今年2月に高級セダン「フーガ」のデザインを一新し、日産のエンブレムを高級車ブランド「インフィニティ」のものに切り替えた。

 ホンダも、国内販売を2年以上中止していた高級セダン「レジェンド」を復活させ、2月に販売を再開した。全面改良した新「レジェンド」は、三つのモーターを搭載する新世代のHVとして売り込んでいる。

(山本照明、小川直樹)

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